大会長挨拶

   この度、第3回全国介護・終末期リハ・ケア研究会研究大会の大会長を仰せつかりました壹岐英正です。研究大会開催にあたりご挨拶申し上げます。

   全国介護・終末期リハ・ケア研究会は、平成25年9月の設立記念研究大会を皮切りに本格的に活動を開始いたしました。平成26年7月には当研究会が事務局となり、「平成26年度全国地域リハビリテーション合同研修会 inあいち」を開催、さらにWebサイト(http://n-cerc.org/)を立ち上げ、当研究会の取り組みについて情報発信する体制を整えました。

   一方で、介護期・終末期リハビリテーションについての研究は十分な成果を挙げていないのが現状です。その背景として、急性期・回復期のリハビリテーションケアは「右肩上がり」が目標および効果であることに対し、この介護期・終末期のリハビリテーションケアは「維持」もしくは「右肩下がり」へのアプローチであるため、効果を証明することが困難であることが挙げられます。その中で、「介護期・終末期リハビリテーション」の概念を提唱された大田仁史先生(茨城県立健康プラザ)は、死に至るプロセスを身体機能で見る評価やご遺体の姿を基に減点法で点数化する評価方法を提唱されています。また地域包括ケアシステムにおいても、「自分らしい暮らしを人生の最期まで続ける」と定義されており、より良い人生の終焉を迎えるためのアプローチを早急に確立する必要があります。

   そこで「芯から支えるリハケアを目指して」というテーマで第3回研究大会を開催することといたしました。我々リハビリテーション従事者は、当事者の人生を最期までサポートする信念を持ち、その手法を確立する一助になるという想いがあります。

   そこで特別講演に大田仁史先生をお招きいたしました。大田先生は2015年3月に「介護予防と介護期・終末期リハビリテーション」(壮道社)を上梓され、介護予防を含め介護期・終末期リハビリテーションの概念を再度整理されております。また講演には福田卓民先生をお招きしております。福田先生は、2014年10月に「エンド・オブ・ライフケアとしての拘縮対策 美しい姿で最期を迎えていただくために」(三輪書店)を上梓され、拘縮の基礎研究で著名な沖田実先生(長崎大学大学院)と共に基礎と臨床のデータを提示し拘縮対策についてまとめておられます。そして、これから介護期・終末期リハビリテーションの手法を確立するために事例・研究発表を数題予定しており、今後の研究活動の発展の礎になるものと考えております。

   介護期・終末期リハビリテーションケアに関わるすべての方々のご参加をお待ちしております。愛知の地で皆様にお会いできること楽しみにしております。

 

 

医療法人瑞心会渡辺病院リハビリテーション科

理学療法士 壹岐 英正